2019/01/04 23:26
もう昨年のことになってしまいますが、クリスマスの前日のころでした。
なぜだか、外の通りに向かって私はしめ飾りを飾っていて、ふと下を見ると女の人と目が合ったんです。
そしたら、その方が2階のお店に階段を上がってくるような気がして。
すり鉢あるかしらって。お見せすると、ちょっと溝が浅いかしらね。毎日ごまを食べてるから。
明日にでも小鹿田焼のものがございますから、お出ししておきますとお話をして。
棚の上に並んだガラスがきれいね。高度成長期に私もお給料を貯めて舩木さんや小谷さんのガラスを買ったわ。
お化粧品やお洋服には無頓着だったけど。
小谷さんや舩木さんご存知?
そうなのね、お二人とも知ってる方は初めてよ、うれしそうにおっしゃって。
明日はお店やってらっしゃる?
明日持って来てあげる。もし私になにかあったら、ブルドーザーで壊してしまうだけだからって。
多分お見えにはならないだろうなって思ったけど、私もすり鉢を準備して。
そしてまた夕暮れのとき。
昨日のお客様がほんとうにいらしたんです。
バッグに新聞紙で包んだ吹きガラス。舩木さんと小谷さんのガラス。
見た瞬間、あまりの美しさにびっくりしてしまって。
だって輝きや力強さが増しているのではと感じました。
どんな暮らし方をなさっているのかと思ってしまって。
「使ってきたからなのよ」ってひとこと。
舩木さんのピッチャーはね、ひとつにはミルク、もうひとつにはシロップをね。夏になるとアイスコーヒーを頂くの。
使う人のように器が育っていくような気がしました。
人とおなじように暮らすことで美しく輝きを増していくのですね。